潤滑剤の種類
機械診断・監視 |
回転機械の適切な稼働のために潤滑剤は大切です。これまでの記事でも、ベアリング不具合の半数は潤滑剤の問題であるという人もいることをご紹介しました。また、グリスアップを過剰に行ったために問題が生じた事例などもご紹介しています。
今回の記事ではそんな潤滑剤の種類についてご紹介します。
グリスアップなどの作業はメンテナンス作業の中では比較的簡単に行うことが出来る作業かもしれません。しかし、潤滑剤には種類があること、そしてそれぞれに適した用途があることをしっかり理解しておく必要があります。間違った用途に潤滑剤を使用することを防ぎ、機械の不具合の発生を抑制することで正常な稼働を維持することに繋がります。
ここではオイル、グリス、浸透潤滑剤、乾式潤滑剤の4つについてご紹介します。間違った潤滑剤を用いないためにも、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。
オイル
オイルは最も一般的な潤滑剤の一つです。比重や粘度の異なる様々な種類が提供されています。酸化防止や腐食防止のために添加剤が加えられている場合もあります。
使用場面は以下の通り。
- ヒンジ、ベアリング、工具・刃具のメンテナンスを行う時
- グリスと同様に抵抗を低減した良好な潤滑状態を得たい時
- 機器の分解を行わずに潤滑状態を改善するため、限られたスペースから給油する時
以下の場面ではオイルを使用しないでください。
- 潤滑が必要な機器・部品に汚れやホコリがあるとき
- 汚れなどがある場合、摩擦が増大したり、オイルが固まる可能性があります。また、低粘度のオイルを用いる場合、漏れ出る可能性もあります。
- 濡れている、もしくは濡れる可能性のある部分への使用
- オイルが流される可能性があります。またオイルに水が混ざり、機器表面への付着力が低下して潤滑状態を保つことができなくなる場合があります。
グリス
グリスはオイル・増粘剤およびその他の潤滑剤を混合したものです。オイルと同様に潤滑状態を良くするものですが、その質感から部品表面に粘着しやすくなっています。様々な種類のものがあり、ケチャップのような質感のものから、チェダーチーズのような硬いものまで存在します。
使用場面は以下の通り。
- ギア、ベアリング、チェーン、リンケージへの使用
- 長期間に渡って表面に潤滑剤を付着させたい場面
- ホコリや水滴の混入を防ぎたい場面
- 機械の使用頻度が低いため、潤滑を忘れがちな場面
以下の場面ではグリスを使用しないでください。
- 動きの速い部分や細かな部分への適用
- グリスの使用により抵抗が増大したり、装置の動きが鈍くなることがあります。
- 周辺を清潔に保つ必要がある場面
- 稼働によりグリスが飛び散る可能性があります。
- グリスを厚く塗布すると、微細な動きや速い動きが妨げられることがあります。
浸透潤滑剤
錆びたジャッキボルトや、長年のサビやゴミの付いたパーツに使用します。浸透潤滑剤は長時間の潤滑目的で使用するものではなく、小さな隙間に浸透して潤滑性を与えたり、サビを取りやすくするために使用します。
使用場面は以下の通り。
- 固着したナットやボルトを緩める時
- 長年のサビやゴミが付着した場合などに使用します。
- ステッカーの除去や各種修理作業など
以下の場面では浸透潤滑剤を使用しないでください。
- 他の潤滑剤の代わりとしての使用
- ベアリングなどには絶対に使用しないでください。長持ちせず、機械の不具合の原因となります。
乾式潤滑剤
ホコリ・汚れを巻き込む可能性がありオイルやグリスを使用できない場面に適しています。グラファイトなどの小さな粒子からなり、分子レベルで非常に滑りやすい性質を持っています。乾式潤滑剤は通常、水やアルコールなどの溶剤に混ぜたスプレーとなっており、最終的には潤滑剤の被膜が表面に残って摩擦を低減します。
使用場面は以下の通り。
- ネジや錠前、ヒンジなど
- グリスでは不適当な小さな部品や周辺を清潔に保つ必要がある場面
- ホコリや汚れの巻き込みが懸念される場面
- 高温や高圧によりオイルの酸化が懸念される場面
以下の場面では乾式潤滑剤を使用しないでください。
- 塗布した部分が液体・溶剤にさらされる可能性のある場面
- 潤滑剤が洗い流される可能性があります。
このように潤滑剤の種類によって適した用途、適さない用途があります。上記をしっかりと把握した上で適切な潤滑状態を保つことが機械の長寿命化にも繋がります。
また、グリスアップや給油などの作業と同時に、不具合が無いのかを確認する取り組みも大切です。不具合の有無だけでなくその原因を突き止める取り組みがなければ、不要なグリスアップや不具合が改善しないという状況に陥ることも考えられます。
タブレットに連携するセンサーにより手軽に使用することが出来、AI診断で不具合の種類と状態をその場で確認できるMachine Defenderなどのツールを使用することでメンテナンス作業全体の効率化を図れます。
その他の振動診断ツールもご紹介しておりますので、是非こちらからご確認ください。
また、カタログもご用意しております。以下のフォームにご記入いただければ閲覧URLをお送りいたします。
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