過剰なグリスアップ
機械診断・監視 |
前回の投稿ではベアリングが破損する主な原因を述べましたまた、ベアリング不具合の半数が潤滑剤の問題であるという人もいるとご紹介しました。
潤滑剤の問題となると、潤滑剤が不足していたため故障に至るという事例がすぐに思いつくかもしれませんが、逆に潤滑剤が多すぎたために問題となることがあります。今回はそのような事例をご紹介します。
アンバランス診断
とある機械をACOEMのツールで診断したところ、アンバランスが生じているという判定が下されました。点検をするために機械を分解してみたところ、次の画像の状態となっていました。
ベアリングの隙間や巻線部、さらにはローター部にもグリスが大量に入り込んでおり、そのためにアンバランスが生じていたのです。この事例では、不具合を解消するために、モーター全体を交換することとなりました。
機械をトラブルなく使用するために、グリスアップは重要です。しかし、どれほどのグリスを給脂すべきかを定量的に記載されていなかったため、機械の内部が過度のグリスで満たされるということは避けなくてはなりません。むやみにグリスアップするのではなく、グリスの状態を確認し、適切な状態となるように給脂を行うことが大切です。
機械の状態診断ツールを用いるというのも一つの手段ですが、その他にも以下のような方法が考えられます。
- リリーフバルブを備えたグリスガンを用いることは有効な手段です。過度の供給を行った場合、内圧が発生してリリーフプラグから余分なグリスが排出されます。
- グリスパージプラグがある場合は、余分なグリースがベアリングから排出されます。
- 聴診器や超音波ツールを用いることで、潤滑不良時の音を聞くことで、状態の判断を行えます。
- グリスガンの1ストロークで供給されるグリス量を把握した上で給脂作業を行うことも重要です。
ベアリングの給脂量が多いことは、グリス切れよりも起こりやすいことです。そのため、むやみに給脂を行うのではなく、必要な場合に給脂を行うことが肝心です。ベアリングに給脂が必要なタイミングを知るために、ベアリングを含めた機械の診断を行えるツールは、非常に有効です。
機械の診断ツールは用途に応じて様々なものがありますが、タブレット用アプリに従って診断を行うことが出来る簡便なツールがMachine Defenderです。
Machine Defenderを含む統合型ツールRT-300は診断だけでなくアライメントにも力を発揮します。詳細は製品紹介ページをご覧いただくか、カタログをご覧ください。
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