ソフトフット(取付脚のガタ)の影響
アライメント |
ソフトフットにより機械に大きな振動が生じた結果、機械の寿命を縮めてしまっている事例は、比較的多い不具合の一つです。正常な状態で機械を運用するためにも、ソフトフットは避けなくてはなりません。
一言にソフトフットと言っても、いくつかのパターンが含まれています。
- シムが多すぎる
シムの枚数が多すぎる場合、まるで“スポンジの上に機械を設置”しているようになっている可能性があります。 - ベースの汚れ・腐食・錆び
機械を設置するベースに汚れや腐食、錆びがあるためソフトフット状態となっていることがあります。事前にベースの状態を確認することが大切です。 - 緩み、軟弱なベース
機械はベースにしっかりと取り付けられなくてはなりません。一般的にボルトでしっかり締め付けられている必要があります。軟弱なベースの上に取り付けられていたり、ボルトに緩みがある状態は避ける必要があります。 - 短い脚
取付脚の底面は同じ平面にあるのが理想です。しかし、実際には1つや2つの脚が短いために底面がそろっていないことがあります。適切に対応出来なければ、ソフトフットが生じてしまいます。 - 脚底面の角度
取付脚の底面は必ずしも同じ平面にある必要は無く、シムで対応することが出来ます。しかし、他の脚底面と角度が異なっていたり、曲がっている場合、ソフトフットが出現します。
冒頭でも述べた通り、このようなソフトフット問題があると機械に振動が生じます。以下では、ソフトフット問題がある時に生じる振動はどのようなものかを見ていきます。
以前の投稿でも述べた通り、不具合の内容によって振動状態は異なります。故に、不具合内容によってどのような振動が生じるのかを知ることは、振動データから不具合を発見するために重要です。
ソフトフット問題があるとき、1x(機械の回転周波数)の振動成分が大きくなることがよくあります。この1xの振動成分は、ミスアライメント(芯ずれ)に起因します。ではなぜソフトフットでミスアライメントが生じるのでしょうか。
機械の脚はベースにしっかりと締め付ける必要がありますが、ソフトフット問題がある場合、機械にゆがみが生じます。例えば一つの脚が短い場合、浮いている脚を設置するまで強く締め付けますが、その際に機械にゆがみが生じます。それによりベアリングのハウジングがゆがみ、ベアリングのミスアライメントが生じます。そのため、ミスアライメントに起因する1xの振動成分が生じます。
また、モーターにソフトフットが生じていた場合、電源周波数の2倍の周波数成分が観測されることがあります。可変周波数制御の場合は異なりますが、例えば電源周波数が60Hzの場合、120Hzの振動成分が生じます。これはソフトフットによりモーターにゆがみが生じ、固定子と回転子の間隔が不均一になるために生じるものです。以下はモーターで問題が生じている時の周波数スペクトルです。60Hzの電源周波数に対して、120Hz = 7,200rpmの振動成分が生じていることが分かります。(緑色のCh1の部分。図の上部に示す通り、この点の周波数は7,199.84rpmです。)
次にポンプでソフトフットが生じたときの時系列データをご覧ください。このポンプではハウジングとインペラの軸方向クリアランスが不足して摩擦が生じています。通常の振動に片方向へのエネルギーが加わったような波形になっているため、縦軸の目盛りが正側は最大3、負側が最小-2と偏った状態になっています。
ギヤボックスの場合、機械のゆがみによりギア間のクリアランスが通常状態から変化し、振動が生じてしまいます。
シムが多すぎたり軟弱なベースに起因するソフトフット現象の場合、位相解析をすることで判断することも可能です。下図で示したようなポイントで測定を行いますが、緩みの存在する2つのコンポーネント間で、90~180度の位相差を示します。
ソフトフットは適切なアライメント作業により回避することが可能な場合があります。
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