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アライメントが出来ない原因は?

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実際に工場で心出しを行うと様々な問題に直面することがあります。そのような場合に適切に対応出来るようになるための方法の一つが、過去の事例を学ぶことです。自分自身で対処した経験があるものだけではなく、過去の事例を知っておくだけでも問題解決のヒントとなることがあります。

過去の記事でも様々な事例をご紹介していますが、今回も心出しに関する一つの事例をご紹介します。

ポンプ・モーターのアライメント

振動診断装置を使用してある装置の状態を確かめたところ、ミスアライメント、キャビテーション、ショックの発生が疑われるという結果が得られました。まずはレーザー心出し装置を使ってミスアライメントの状況を確認したところ、ポンプ-モーターのシャフトに大きなズレが生じていることが確認されました。

プリアライメント作業を行った上でアライメント作業に移りました。途中までは順調に作業を進めており、シムの調整による垂直方向のアライメントまでは問題なく完了しました。水平方向のアライメントを行ったところ、問題が発生したのです。

今回の対象ではポンプを動かす事が出来なかったため、モーターの位置を調整する必要がありましたが、モーターを水平方向に十分に動かす事が出来ませんでした。

調整が出来ない原因は?

この様な場合に疑われる原因の一つがボルトバウンドです。ボルトバウンドはボルトとボルト穴が干渉した状態です。しかし、単に動かすことが出来ないというだけでボルトバウンドと断定してはいけません。どのボルトが問題であるのかをきちんと確認する必要があります。
しかし、モーターのボルト・ボルト穴を確認してみても、干渉は発生しておらず十分な隙間があることが確認されました。ということは他の原因があるはずです。

装置全体を確認したところ、電気配線用の配管がモーターと干渉しており動きを妨げていることが確認されました。対処を行って心出しを完了させたところ、稼働音がこれまでより大幅に低減し、振動測定を行ったところキャビテーションは疑われましたがその他はすべて許容レベルの振動しか発生していなかったとのことです。

この事例から学ぶべきことは

今回の事例を一言で述べれば、電気配管との干渉が心出しを妨げた事例とでもいうことが出来るでしょう。そのような事例があったということ自体も大切ですが、この事例から学ぶべきことは全体を俯瞰で見ることの大切さです。

心出しのトレーニング用ツールなどは周囲に干渉するものが無い場合がほとんどかと思いますが、実際に工場に設置されている機器は周囲に様々な別の機器が設置されていることもあり、それによる問題が起こることもあり得ます。問題が生じた時に原因を推測することは必要ですが、その推定した原因に固執してしまうと本当の問題を見逃すことにつながる可能性もあります。