スペア機器のメンテナンス
機械診断・監視 |
工場設備の予期せぬ故障に迅速に対応するため、スペア機器を用意しておくことは有効な手段の一つです。しかし、長期間放置されたスペア機器は問題が生じ、必要となった際にその役目を果たせないことがあるかもしれません。スペアの回転機器であったとしても定期的にメンテナンスを行う必要があります。
長期間保管されている回転機器では以下のような不具合が発生していることがあります。
- ベアリングやギアの錆。稼働していれば各部に潤滑剤が供給され錆が抑止されているが、不稼働により潤滑剤切れが生じたことなどに起因。
- フレッティングの発生。保管している機器そのものは動いていなくとも、周囲の機器の振動や、近くを走行するフォークリフト等の振動などによって微小な振動が加わることで生じることがあります。新しいベアリングやシール材が使われている場合にも発生することがあります。
スペア機器を容易に稼働させることが出来るのであれば、数週や数カ月などの期間ごとに稼働させ問題がないのかを確認しつつ上記のような不具合の発生を抑止することが大切です。ですが、組み換えなどが必要であり容易に稼働させることが出来ない場合は、手動で機器を回転させることも手段の一つです。その他の項目も含め、スペア機器の保管には以下のようなポイントに気を付ける必要があります。
- 適切な潤滑油が供給されている
- 数週・数カ月ごとに動かす
- 周囲の機器の振動を受けにくくするため、コンクリート床でなくラック・パレットなどの上で保管する
保管する場所が屋外ということもあるかもしれません、このような場合は降雨の影響を避けるために上部を覆う必要がありますが、結露の可能性もあるために防水シートやシュリンク包装のようなもので包むことは避けてください。また、潤滑オイルのサンプリングを通じて機器内部に水分がたまっていないことを確認することも必要です。
稼動している機器だけでなく、保管されているスペア機器の状態も管理することは面倒だと思われるかもしれません。しかし、いざというときにバックアップ用のスペア機器が稼働しないことを避けるためには、定期的な確認作業は行う価値のある作業であると言えます。