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ベースバウンドとボルトバウンド

アライメント |

心出し作業で、ボルト穴とボルトが干渉してしまったり、シムが無い脚をさらに低く下げたいと思ったことはありませんか?このような状態はそれぞれ ボルトバウンドベースバウンド と呼ばれます。

ベースバウンドボルトバウンド はその名の通りベース(取付台)やボルトが機器の脚部と干渉するため、心出しのための移動がバウンド(拘束)された状態のことを言います。

これらの状況を解消する方法はいくつか考えられます。ベースやボルトと脚部との干渉が生じているのであれば、その部分を削り干渉を解消するということも一つの案ではあります。しかし、削ることによって各部の強度が低下し稼働時の振動に耐えられなくなるなどの問題や、バリの発生によりアライメントへの影響も懸念されます。
通常、アライメントでは一方の機器を固定側とし、他方の可動側をそれに合わせて調整しますが、固定側を動かすことで ベースバウンドボルトバウンド の解消を図るという手段もあります。

ここで一つの事例をご紹介します。
上の画像はある機器のプレアライメント直後の状態を測定したアラメント前の測定結果です。画像の右側にあるモーターが高い位置にあり、かつ傾いているのがわかります。モーターの位置を下げようと試みましたが、モーターとベースの間にシムはなく、ベースバウンドの状態でした。そのため、固定側も調整を行うことでアライメントを完了させることにしました。

今回はNXA Proというレーザーアライメント装置を用いており、フットロック機能が搭載されています。通常、固定側の前後の脚はその名の通り動かさずに、可動側の前後の脚を調整しますが、フットロック機能により可動側前後脚・固定側前後脚のうち任意の2つを動かした時の調整量を算出してくれる機能です。今回は以下の画像のように固定側・可動側の脚を1つずつ選択しました。

この2つを選択した場合、固定側・可動側ともにシムを追加することでアライメントを行うため、ベースバウンドは生じません。
また、ベースバウンド状態が解消されただけでなく、カップリングに生じていたひずみが緩和され、回転そのものもスムーズになりました。

この様にフットロック機能を使ってアライメントを行った結果が以下の通りです。30分程度で問題を解決することができたということです。

フットロック機能の一例をご紹介しましたが、どの脚を調整するのかを単に切り替えれば良いというものではありません。選択によってはバウンドが生じている脚部を干渉が増大する方向に動かす必要がある場合も考えられます。
そこで次回の記事ではボルトバウンドの例をご覧いただき、どの脚を調整するのかによって移動方向や量が変わる様子もご覧いただきます。

なお、固定側には何らかの機器が既に取り付けられていることもあり、動かすことが出来るかどうかは状況によって異なります。また、動かすことが出来てもごく僅かしか動かすことが出来ない可能性もあるため、状況に応じて調整を行ってください。