環境がアライメントに与える影響
アライメント |
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心出し作業の必要な機器は様々な場所に設置されることがあります。工場内に設置されている機器あったとしても、周辺の温度や湿度などは大きく異なることがあります。また、屋外に設置されている場合は雨や雪の量や頻度、気温、湿度などは様々で、過酷な環境に設置される機器も存在しています。
一般的に、過酷な気候・環境で使用されている機器のほうがメンテナンスの必要性は高まってきます。酷い場合は正確なアライメントが非常に困難であったり出来ないのではないかということもあり得ますが、環境を知り、作業の必要性や意味をしっかりと理解することが、周辺環境から受ける影響を最小限に抑えることにつながってきます。
日本国内ではなかなか無いかもしれませんが、アメリカ南西部の砂漠地帯での事例をご紹介します。ここでは冬には氷点下となりますが、夏には摂氏45度以上の気温となる可能性があります。非常に過酷な環境であるため、以下のような予防措置を行うことで、回転機械や設置台・その他機器の駆動部分への問題発生を抑制します。
- 保全のための機器の確認作業を、より頻繁に行う
- 潤滑油の注油頻度を増やす
- コンクリート部(設置台)やハードウェアに保護コーティングを行う
- 水分の侵入を防ぐための措置を行う
設置台に微小なひび割れがあると、降雨時に雨が侵入します。侵入した雨が凍結するとひび割れを進展させる原因となり、アライメントがズレてくる原因となります。また、再調整を行っても適切なアライメントが出来ない状態になってしまうかもしれません。雨により錆や腐食が促進された場合も同様にアライメントが上手くできない要因になり得ます。
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気温差による影響も大きく、問題を引き起こすことがあります。季節によって気温が違うというのもありますが、特に冬季は昼夜の気温差が大きく、1日の中で30~40℃も気温が変わることがあります。これにより大きな影響を受ける可能性があるため、屋外の施設では年に2回のアライメント作業を行っている場合もあります。
沿岸地域の場合、空気中の塩分と湿度の影響により、錆や腐食が機器の様々な部分に発生するリスクが高まります。錆や腐食がきっかけとなり、機器そのものに様々な問題が引き起こされる可能性が高まります。
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記事の途中でいくつか画像を掲載していますが、設置台のひび割れや錆が発生している様子をご覧いただくことが出来ます。また、以下の画像はアライメントで使用されていたシムの写真ですが、錆びて腐食してしまっていることがわかります。
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以下の写真では熱膨張の影響でアライメント対象のボルト穴の位置では適切なアライメントが出来ない「ボルトバウンド」状態となっていた事例です。不適切な対処方法ではありますが、ワッシャーを積み重ねて何とか調整を行っています。
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ここまで述べてきたような問題を出来る限り抑制するため、環境に応じた対策として、保護コーディングによるひび割れの抑制や水の侵入からの保護、およびメンテナンスやクリーニングなどの対応を行うことが大切です。また、このような取り組みは屋外に設置された機器だけの問題ではなく、工場内の機器であっても同様に検討をしておく必要があります。