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フレキシブルカップリングの影響

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フレキシブルカップリングは多少の芯ずれを許容するカップリングです。しかし限度を超えたズレまでは許容できず、カップリングそのものやシャフト・ベアリングなど装置の各部に負荷がかかり、故障を引き起こす可能性も考えられます。そのため、フレキシブルカップリングを使用するとしても適切なアライメントを行うことが重要です。

アライメントを適切に行うためにレーザーアライメント装置は強力なツールであり、導入することで作業時間を大幅に削減出来た事例は多くあります。しかし、単にレーザーアライメント装置を使うだけではなく、その他の作業も適切に行うことが大切です。その作業の一つがレーザーアライメント装置を使用する前の段階である程度大まかにはなってしまうもののアライメント調整を行っておくことが重要です。

大まかなアライメントを行わなかった場合、フレキシブルカップリングを用いていたとしても測定値に影響を及ぼす可能性があります。これはレーザーアライメント装置を使用する場合でも、ダイヤルゲージを使用する場合でも同様です。

測定値に影響が出るということは、シャフトやベアリングなどに何らかの負荷がかかっていることになります。となるとどの程度の影響があるのか、問題視すべき影響なのかどうかが気になるポイントですが、これらは状況によって変わってくるために一概に回答することは出来ません。しかし、今回は一つの例をご紹介します。

30馬力のポンプ・モーターでタイヤカップリングの有無によるアライメントへの影響を実測した事例です。結果は以下の通りになりました。
(注:米国での事例のため、単位はインチです。)

・タイヤカップリングを取り付けた状態での結果

・タイヤカップリングを半分だけ取り付けた状態での結果

・タイヤカップリングを取り外した状態での結果

完全に取り付けた状態と取り外した状態を比較すると、元々ズレていたポンプとモーターのシャフトが、タイヤカップリングの影響を受けていることがわかります。垂直方向の角度ズレへの影響が1.5ミル/インチ(ミル=0.001インチ=25.4μm)、垂直オフセットが17ミル、シャフト側の脚部に31ミル、反対側の脚部に47ミルの影響が生じています。

このような影響を受けた測定結果を元にアライメント作業を行うと、いくら高性能のレーザーアライメント装置を用いていたとしてもうまくアライメントが出来ないことがあります。作業を効率的に行うためにもまずは大まかなアライメントを行い、最終的な精密なアライメントをレーザーアライメント装置で行うように心がけることが大切です。


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