アンバランス(不釣り合い)とは
機械診断・監視 |
機械の振動問題でよく出てくる問題の一つに「アンバランス」があります。「アンバランス」とは回転軸の周りの質量が均等に配置されていない状態のことであり、この状態で装置を動かすと振れ回りによる振動が生じます。また、装置にダメージが生じることもありえます。
大きな風力発電設備のようなものから、小さなギアのようなものまで回転機械には様々なものがありますが、あらゆる回転機械でアンバランスは生じる可能性があります。
回転機械を一度バランス(釣り合い)の取れた状態にしたとしても、何らかの変化が加わると「アンバランス」状態になってしまうことがあります。アンバランスを生じさせる変化には、例えば以下のようなものがあります。
- 汚れや塗料、その他異物の付着
- ブレード、ベーンなどの錆びや破損
- 留め具などの欠落
つまり、アンバランスが生じた場合には回転要素に付着した異物を除去するか、欠落した重量を補ってやる必要があるということです。
アンバランスの修正
アンバランスを是正するには、以下のような取り組みが必要です。
・クリーニング・清掃
アンバランスの要因の一つは回転体に付着した汚れや塗料、およびその他の異物です。よって、これらの付着物を清掃によって取り除くことはアンバランスを是正するための最初のステップです。拭き取りや高圧洗浄など、装置に適した方法で清掃を行ってください。
清掃を行っても状態が改善されない場合は、別の方法で是正を試みる必要があります。
・適切な加工と組立
回転体は回転軸回りに質量が均等になるように製造されている必要があります。加工や組立が不適切で偏心している場合にアンバランス状態が生じます。加工や組立が適切に行われているのかを確認してください。
・バランシング
適切な加工と組立が行われていても、様々な要因で多少の不釣り合いが残存していることがあります。その不釣り合いを是正するのがバランシング(バランス調整)です。
バランシングは主に2つに分けられます。一つは、通常は専用のバランシングマシンを用いて製造工程の一環として行われるショップバランシング。もう一つが現場で行われるバランシングです。
いずれの場合でもバランシング作業そのものは分かりにくい作業ではありません。しかし、作業に危険が伴うことがあります。そのため、実際に作業を行う前にしっかりと手順を把握し、必要に応じてトレーニングを受けた上で作業を行う必要があります。
アンバランスと誤認されがちなその他の不具合
以下のような不具合はアンバランスであると判定されることがあります。アンバランスによると思われる振動が生じた場合、もしくはアンバランスを是正しても改善されない場合は以下のような不具合が生じていることもあります。
- シャフトの曲がり
- 不適切な組み立て
- 加工不良
- 緩み
- 設置土台やフレームの不備・破損
- 共振
- 負荷が不適切
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