ポンプの振動
機械診断・監視 |
ポンプを扱う場面で、『キャビテーション』はよく出てくる単語かと思います。流体に起因するポンプの振動は、しばしばあらゆる振動がキャビテーションとして扱われたり、以下のような現象が生じると振動の専門家はキャビテーションとみなしていることがあります。
- ポンプの騒音が大きい
- ポンプの振動が不安定で、周波数スペクトルに多くの「ノイズ」が含まれている
しかし、流体に起因するポンプの振動はいくつか種類があり、キャビテーションはその中の一つにすぎません。とはいえ、流体に起因するポンプ振動はいずれもポンプの効率を下げ、深刻な場合はポンプの故障につながる可能性があります。
流体に起因するポンプの振動にはどのようなものがあるのかを見ていきます。
キャビテーション
キャビテーションが生じるのはポンプの吸い込み側の圧が下がり、流体に「空洞」が生じる為です。このキャビテーションが起こるのは以下のような場合があります。
- フィルターなどサクション側のどこかに目詰まりがある
- 配管設計に問題がある
- 定格状態では問題が無いものの、可変周波数駆動の広がりの影響もありキャビテーションが発生しやすい運転条件が含まれている
キャビテーションにより発生した「泡」がポンプのインペラ部分に入ると、周囲の圧力の影響もあり泡は崩壊します。
この崩壊はしばしばインペラなどの表面で発生します。すると、インペラやハウジングに損傷が生じる可能性があります。キャビテーションはしばしば非常にうるさく、ポンプ内を砂利が通過しているかのように聞こえることがあります。
エアレーション・空気の閉じ込め
気泡が流体内にあった場合に発生し、以下のような場合に起こります。
- 作動流体がタンクに戻る際に液面に落下し空気が巻き込まれたり、タンクの液面低下により吸い込み口から空気を同時に吸い込んでいる
- 脱泡剤を使用していない(使用できない)
- 復水ポンプなど流体が沸点に近い状態である。
この問題ではキャビテーションほどの損傷が生じたり、大きな音が生じるとは限りませんが、発生したままにしておくと、キャビテーションと同じようにインペラなどに損傷が生じる可能性があります。
リサーキュレーション
この現象は、ほとんどの場合、流量が少ないときに発生します。
リサーキュレーションは以下の2つの場合があります。
- 吸引リサーキュレーション
インペラ中心部で流れが逆転し、キャビテーション時とよく似た低圧の「泡」が形成され、インペラの吸い込み側に損傷を与えます。 - 吐出リサーキュレーション
ポンプの吐出側で生じる流れの逆転です。吸引リサーキュレーションと同様ではありますが、インペラの吐出側に損傷を与えます。
上記のような問題が生じた場合、どのように見分ければ良いのでしょうか。例えば困難な場合もあるでしょうが、振動解析を行うのも一つかもしれません。自動診断システム Accurex™ を搭載したツールでの診断を行えば、「キャビテーションが疑われる」という診断を下してくれるかもしれません。
もしくは、そのような操作が可能であれば吐出バルブをゆっくりと絞る方法もあります。バルブを絞っている際に
- 振動・騒音が改善している場合 → キャビテーションが疑われます
- 振動・騒音が同じ場合 → エアレーション・空気の閉じ込めが疑われます
- 振動・騒音が悪化した場合 → リサーキュレーションが疑われます
吐出バルブを絞るのは簡単な方法ではありますが、あくまでも判別するための方法です。根本的な対処方法ではありません。運用や設計などによりこれらの問題を解決する必要がありますが、そのためにも判別方法を知ることはとても重要です。
機械に不具合が発生したときは、何が起きているのかを把握することが大切です。回転機械の場合、不具合発生時には振動が生じるため、振動診断システムを準備しておくことをオススメします。
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